所得控除と税額控除の違い、あなたは説明できますか?
~知っているだけで“払いすぎ”を防げる税金の基礎~
◆ 「控除って、つまり何?」
確定申告や年末調整の時期になるとよく聞く「控除」という言葉。
でも、こう思ったことはありませんか?
「所得控除と税額控除って、どっちがどう違うの?」
どちらも“税金を安くする仕組み”ですが、
効き方がまったく違うんです。
◆ まずは仕組みから:税金が決まる流れ
税金は次の3ステップで計算されます👇
1️⃣ 収入(年間の給料や事業収入など)
↓
2️⃣ 所得控除を差し引く
↓
3️⃣ 残った金額(課税所得)に税率をかける
↓
4️⃣ 出た税額から税額控除を差し引く
つまり、
- 所得控除:税金をかける“もと”を減らす
- 税額控除:出た“税金そのもの”を減らす
です。
◆ 所得控除のイメージ:「収入の一部を課税対象から外す」
代表的なもの:
- 基礎控除(全員対象・48万円)
- 配偶者控除(最大38万円)
- 扶養控除(子どもや親を扶養している場合)
- 社会保険料控除・生命保険料控除・iDeCo掛金控除 など
たとえば、
年収500万円の人が所得控除100万円を受けると、
課税対象が 400万円に減る。
税率10%なら、
→ 税金は40万円になります(控除前は50万円)。
つまり、「税金のもと」を減らす仕組み。
◆ 税額控除のイメージ:「出た税金を直接減らす」
代表的なもの:
- 住宅ローン控除
- ふるさと納税(寄附金控除)
- 配当控除
- 外国税額控除
- 太陽光発電などの環境関連控除 など
こちらは、計算後の税金そのものを差し引きます。
たとえば、
税金が40万円 → 税額控除5万円
→ 実際の支払いは 35万円。
つまり、「払う税金を直接減らす仕組み」。
◆ 実際の違いを数字で比べてみよう
| 区分 | 控除額 | 税率 | 効果の出方 | 税金の減少額 |
|---|---|---|---|---|
| 所得控除 | 10万円 | 10% | 課税所得を減らす | 約1万円 |
| 税額控除 | 10万円 | - | 税額から直接引く | 10万円 |
同じ「10万円の控除」でも、
税額控除の方が10倍の効果を持つこともあるんです。
◆ FPがよく使う言い方
「所得控除は“じわっと”、税額控除は“ドンッと”効く」
- 所得控除 → コツコツ積み重ねて税金の基礎を減らす
- 税額控除 → 直接的に税金を下げる“強い一手”
どちらが大事というよりも、
両方を組み合わせて使うことが節税のコツです。
◆ よくある組み合わせ例
iDeCo × ふるさと納税
- iDeCo:掛金が所得控除(課税所得を減らす)
- ふるさと納税:寄附額が税額控除(税額を直接減らす)
この2つを併用することで、
「収入段階」と「税額段階」の両方で節税効果が出ます。
◆ FPからのまとめ
所得控除=税金をかける“もと”を減らす
税額控除=税金そのものを直接減らす
どちらも大切ですが、
自分に使える控除を理解しておくことで、
毎年の“払いすぎ”を防ぐことができます。
「年末調整や確定申告を“流すだけ”で終わらせない」
それが、今日からできる賢い節税の第一歩です。
「自分が使える控除を知りたい」方へ
「iDeCoや住宅ローン控除で、いくら得しているの?」
「ふるさと納税の上限を計算してほしい」
そんなときは、現在の年収・控除状況をもとに税負担を試算できます。


