老後資金づくりの新常識
老後資金づくりの新常識
◆ 「老後2,000万円問題」はもう他人事じゃない
「退職金があるから大丈夫」「年金でなんとかなる」
そう思っていた時代は、もう過去の話です。
いまの50代以下では、企業年金がない人も多く、
老後の生活費は自分で作る時代になりました。
ただ、ここでよく聞かれるのがこの質問。
「iDeCoと新NISA、どっちを優先したらいいですか?」
どちらも“税金が優遇される制度”ですが、
目的と使い方がまったく違うんです。
| 制度 | 使えるタイミング | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| iDeCo(イデコ) | 60歳以降 | 掛金が全額所得控除(節税効果が高い) | 原則60歳まで引き出せない |
| 新NISA | いつでも | 利益が非課税・自由に引き出せる | 節税効果はiDeCoより小さい |
つまり、
- iDeCo=老後のための年金づくり
- 新NISA=人生全体で使える資産づくり
どちらも「貯める」ではなく、「増やす」ための制度。
でも、使う時期と目的を分けて使うことが重要です。
◆ FPがすすめる“二段構えの考え方”
老後資金は「使う順番」で考えるのがポイント。
1️⃣ 60歳まで使わないお金 → iDeCoで育てる
2️⃣ それ以前にも使う可能性のあるお金 → 新NISAで運用する
たとえば40歳の共働き夫婦の場合
- iDeCo:夫 月2万円、妻 月1万円
- 新NISA:夫婦で月5万円ずつ
この組み合わせで20年続ければ、
老後の“年金”と“自由資金”を同時に育てることができます。
◆ 節税効果を数字で見る
たとえば、年収600万円の会社員がiDeCoで月2万円積み立てると、
年間の掛金24万円が全額所得控除に。
所得税・住民税合わせて約20%の人なら、
→ 年間約4.8万円の節税効果!
20年間で約96万円の税金が戻る計算です。
一方、新NISAは利益が非課税。
仮に年5%の利回りで20年間積み立てた場合、
- 通常課税なら利益約200万円×20%=40万円が税金
- 新NISAならこの40万円がまるごと非課税✨
どちらも強力ですが、**iDeCoは「節税」、NISAは「自由」**と覚えると分かりやすいです。
◆ こんな人はiDeCo優先
✅ 会社員・公務員で安定収入がある
✅ 60歳まで使う予定のないお金がある
✅ 毎年の所得税・住民税を減らしたい
✅ 老後に年金として受け取りたい
→ 節税+長期運用の効果が大きく、**“年金づくりの土台”**になります。
◆ こんな人は新NISA優先
✅ 自営業・主婦など、税金の控除メリットが少ない
✅ 将来の教育費・住宅費・セミリタイア資金にも使いたい
✅ 投資の自由度を重視したい
→ 「いつでも使える・途中で止められる」柔軟さが魅力。
特に子育て世帯には、NISAで資産を育てながら“必要な時に取り崩せる”自由度が大きな安心になります。
◆ FPが考えるバランスの黄金比
理想は、NISA7:iDeCo3 の割合。
NISAで資産の流動性を確保しつつ、iDeCoで老後の軸を作る。
40代夫婦で月10万円を積み立てる場合👇
- NISA:7万円(教育・老後・ライフイベント用)
- iDeCo:3万円(退職後の年金用)
この配分なら、「今」と「老後」のバランスが崩れにくい家計になります。
◆ 老後資金は「60歳までにどれだけ育てられるか」
たとえば、月5万円を年5%で20年間積み立てると──
→ 元本1,200万円 → 約1,983万円に成長。
ここに節税効果(iDeCo)や非課税効果(NISA)が加われば、
同じ努力で200万円以上の差が出ることも。
老後資金は「努力」ではなく「仕組み」で増やす時代です。
◆ FPからのひとこと
老後の安心を作るのは、「節約」ではなく「運用+制度の理解」。
iDeCoと新NISAをバランスよく使えば、
老後資金だけでなく、教育費・住宅費・セミリタイア資金まで“流れるように準備”できます。
どちらかを迷うより、役割を分けて同時に始める。
それが、これからの時代の“老後資金の新常識”です。
迷ったら「希望プランが実現できるか」を数字でチェック
「今の収入と支出で、老後や教育費の目標は叶うの?」
「今のペースで積み立てて、本当に足りるのかな?」
そんな時は、現状の家計で希望プランが実現できるかをシミュレーションしてみましょう。
数字で見ると、今のままで大丈夫なのか、何を見直すべきかが明確になります。


