海外留学を視野に入れた教育費計画の立て方
~「夢」を“叶う数字”に変える方法~
◆ 「子どもを海外で学ばせたい」──その現実的なコスト
グローバルな教育を求めて「海外の大学に進学したい」と考える家庭が増えています。
でも、最初に立ちはだかるのが費用の壁。
日本政策金融公庫の調査によると、
アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアなど主要国への大学留学費用は
年間およそ500万〜1,000万円。
4年間通う場合、総額で約3,000万〜4,000万円になるケースが一般的です。
→ 日本政策金融公庫:海外留学費用の目安
◆ ステップ①:「いつ・どこで・どのくらい」を明確に
留学資金を貯めるには、まず目的を具体化することから。
1️⃣ いつ留学するか
高校で短期留学?大学で4年間?大学院で2年間?
→ 期間によって準備年数が変わります。
2️⃣ どこの国か
授業料と生活費の差は大きく、アメリカやイギリスは特に高額。
例:
- アメリカ大学 → 年間700〜1,000万円
- オーストラリア・カナダ → 年間500〜700万円
- マレーシア・台湾などアジア圏 → 年間150〜300万円
3️⃣ どれくらいの期間か
短期(1年以内)なら100〜300万円、
大学4年間なら3,000万〜4,000万円を目安にしておくと安心です。
◆ ステップ②:「時間」を味方につけて育てる
留学費用の準備は、“今からの時間”で勝負が決まるといっても過言ではありません。
▶ 10年以上ある場合(長期準備型)
時間があるほど、「リスクを分散しながら増やす」戦略が有効です。
この期間に最も向いているのは、
つみたてNISAやインデックス型投資信託。
- 年3〜5%のリターンを想定し、コツコツ積み立てる
- 長期・分散・低コストの3つを守る
- 学費を「増やす+守る」両方を担えるのが最大の強み
例)月10万円を年4%で15年間運用 → 約2,400万円
→ 4年制大学の学費の半分以上を準備可能。
▶ 10年以内の場合(中期〜短期準備型)
留学までの期間が10年を切ると、値動きリスクを抑える設計が必要です。
- 債券型・バランス型ファンドで変動を小さく
- 必要時期が近い分は普通預金・定期預金で確保
「安全資産で守りながら、残りを育てる」二層構造が理想です。
◆ ステップ③:奨学金・助成金をフル活用
海外留学では、“貯める”だけでなく“もらう”も戦略のひとつです。
🎓 JASSO(日本学生支援機構)海外留学支援制度
- 給付型(返済不要)奨学金あり
- 月額8〜18万円を支給(派遣国・期間による)
→ JASSO:海外留学支援制度(給付型奨学金)
🏛 自治体・大学独自の奨学金
- 例:東京都「次世代リーダー育成留学支援事業」など
- 学力・家庭状況に応じて支給される制度もあり
これらを組み合わせれば、実質負担を数百万円減らせることも。
◆ ステップ④:現実的な計画を数字にする
たとえば、現在6歳の子どもが18歳で留学する場合。
準備期間は12年。目標は4,000万円。
シミュレーション:
- 月10万円を年4%で12年間運用 → 約1,850万円
- ボーナスから年50万円追加で積立 → 12年で600万円
- 合計:約2,450万円(奨学金や支援金で残りを補う)
→ 「貯金+運用+支援金」で現実的に到達可能です。
◆ FPからのまとめ
海外留学は「お金がかかるから無理」ではなく、
“早く準備すれば現実的に叶えられる”ライフイベントです。
✅ 年間500〜1,000万円、4年間で3,000〜4,000万円が目安
✅ 準備期間が10年以上なら、投資で“時間を味方に”
✅ 奨学金・助成金も合わせて設計する
この3つを押さえるだけで、
「夢だった海外留学」を“現実的な選択肢”に変えられます。
「我が家の家計で海外留学は実現できる?」
「どのくらい積立すれば間に合う?」
「奨学金を使って足りない分を補うとどうなる?」
そんな疑問を、現状の家計・投資状況をもとにシミュレーションしてみましょう。


