インフレ時代に現金を持ちすぎるリスク

~「安心」のつもりが、じつはお金が減っている?~

◆ 「貯金してるから安心」は、もう通用しない

昔は「お金は銀行に預けておけば安全」と言われていました。
でも今は、その“安全”が静かにお金を減らす時代です。

たとえば、物価が毎年2%上がると仮定すると
10年後には同じ100万円で買えるモノの価値は、約82万円分に。

つまり、**何もしていないだけで18万円分の“損”**をしているのと同じなんです。
これが「インフレによる目減り」の怖さです。

◆ ◆ インフレとは?かんたんに言うと…

インフレ(inflation)=モノやサービスの値段が上がること。
言い換えれば、お金の価値が下がるということです。

最近ではスーパーの食材、光熱費、保険料、教育費まで上昇。
私たちは同じお金で「買える量」が減っているのを、
日々の生活の中で感じていますよね。

銀行預金の金利は0.001%。
一方で、物価が2%上がれば、
差し引き1.999%のマイナス──つまり“実質的な損”です。

◆ ◆ 現金を持ちすぎるリスクとは?

「株や投資は怖いから現金のままで」
という方も多いですが、実はそれこそが最大のリスク。

インフレ時代では、
**“増やさない”=“減っていく”**という構図になります。

つまり、

  • 現金を多く持つほど、
  • 物価上昇でお金の価値は下がり、
  • 実質的な購買力が減っていく

という悪循環に陥るのです。

◆ ◆ じゃあ、どうすればいいの?

現金の一部を“守りながら増やす資産”に変えていくのがポイントです。

▶ ステップ①:現金の役割を分ける

  • 生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)は現金で確保
  • それ以外は「運用資産」として分ける

▶ ステップ②:インフレに強い資産を組み合わせる

  • 株式(インデックスファンド):物価上昇とともに企業の利益も増えやすい
  • 債券や金など:値動きの方向が異なり、リスク分散に役立つ
  • 外貨資産:円安時に資産価値を守る働きも

すべてをリスクにさらす必要はありません。
「使う目的と時期」でお金の置き場所を変える」 

これがFPが考える王道です。

◆ ◆ “お金を守る”=“動かすこと”

お金を守るとは、
「タンス預金で動かさない」ことではなく、
お金を“働かせる”ことです。

インフレが進む今こそ、
「貯金だけの安心」を「仕組みで守る安心」に変えるタイミング。

投資=ギャンブルではなく、
”未来の自分を支える“生活の一部”にしていく時代です。

◆ FPからのひとこと

資産運用は“増やすため”というより、
「お金の価値を守るための防衛手段」です。

現金も大切。
でも“貯める”と“守る”のバランスを間違えると、
知らないうちにお金は静かに減っていきます。

小さくてもいい。
まずは月1万円から、「お金を動かす」練習を始めましょう。
それがインフレ時代の最大の防御です。