医療保険より先に確認すべきお金
◆ 医療保険、本当に必要ですか?
「入院したら医療費が心配」
「がんになったときのために保険に入っておきたい」
病気やケガへの備えとして、医療保険を検討する方は多いと思います。
もちろん、医療保険があることで安心できる場合もあります。
でも、保険に入る前に確認してほしいことがあります。
それは、「もし病気になったら、実際にいくら必要なのか」ということです。
日本には公的医療保険制度があり、医療費のすべてを自分で負担するわけではありません。
さらに、手元の貯蓄によっては、民間の医療保険に頼らなくても十分対応できるケースがあります。
大切なのは、なんとなく不安だから保険に入るのではなく、必要な保障額を数字で考えることです。
◆ ① 高額療養費制度を知っていますか?
まず確認したいのが「高額療養費制度」です。
これは、1か月の保険診療にかかる自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が支給される制度です。
自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。
例えば、2026年8月以降の制度では、70歳未満・年収約370万〜510万円の方が、1か月に100万円の保険診療を受けた場合、自己負担は約9万3,000円となります。
つまり、医療費が100万円かかったからといって、100万円を自分で支払うわけではないのです。
ただし、差額ベッド代や入院中の食事代、保険適用外の治療費などは原則として対象外です。
また、制度は見直されることがあるため、自分の年齢・所得に応じた最新の限度額を確認しておきましょう。
◆ ② 医療費よりも「働けない間の生活費」が問題になることも
病気になったとき、本当に心配なのは医療費だけでしょうか。
例えば、毎月の生活費が30万円の家庭で、病気によって3か月働けなくなったとします。
生活費だけでも90万円必要になります。
会社員など、勤務先の健康保険に加入している方は、一定の条件を満たすと「傷病手当金」を受け取れる場合があります。
支給額は、おおむね給与の3分の2に相当する金額で、支給期間は通算1年6か月です。
ただし、実際の金額は標準報酬月額などをもとに計算され、受給には条件があります。
一方、自営業者などが加入する国民健康保険には、会社員と同じ傷病手当金の仕組みが原則としてありません。
そのため、働き方によって必要な備えは大きく変わります。
「医療費が払えるか」だけでなく、「収入が減っても生活できるか」まで考えることが重要です。
◆ ③ まずは手元の貯蓄を確認する
ここで考えてほしいのが、現在の預貯金です。
例えば、生活費が毎月25万円の方なら、
・生活費3か月分:75万円
・生活費6か月分:150万円
となります。
仮に150万円の預貯金があれば、生活費6か月分に相当する備えがあります。
ただし、これは生活費だけの計算です。医療費や収入減少の程度、家族構成、今後の大きな支出も考慮する必要があります。
医療費への備えと生活防衛資金を確保しても十分な余裕があるなら、民間の医療保険の必要性は低くなるかもしれません。
反対に、貯蓄が少ない方や収入減少への備えが十分でない方は、保険が役立つ場合もあります。
保険の必要性は、貯蓄額だけでなく、家計全体で判断することが大切です。
◆ 毎月の保険料を貯蓄に回したら?
例えば、月5,000円の医療保険に30年間加入すると、支払う保険料は合計180万円になります。
同じ金額を貯蓄していれば、30年間で180万円を手元に残せます。
医療保険は、契約で定められた条件を満たさなければ給付金を受け取れません。
一方、貯蓄には使い道の制限がありません。
病気やケガの医療費だけでなく、働けなくなったときの生活費、介護費用、教育費など、さまざまな支出に対応できます。
さらに、使わなかったお金はそのまま自分の資産として残ります。
もちろん、加入直後に高額な保障が必要になる場合など、保険ならではのメリットもあります。
ただし、日本には高額療養費制度などの公的保障があります。
そのため、十分な預貯金がある家庭では、医療保険に毎月保険料を支払うよりも、そのお金を貯蓄や資産形成に回す方が合理的なケースもあります。
大切なのは、保険に入ること自体を目的にせず、公的保障と手元資金でどこまで対応できるのかを確認することです。
◆ 医療保険が必要な人、必要性が低い人
医療保険の必要性は、人によって異なります。
例えば、十分な預貯金があり、公的保障も充実している会社員なら、医療費の一部を貯蓄から支払うという選択ができます。
一方、手元資金が少ない方や、病気で働けなくなると収入が大きく減る自営業者などは、民間保険による備えを検討する価値があります。
また、先進医療など公的医療保険の対象外となる費用への備えを重視する場合も、必要な保障を個別に検討するとよいでしょう。
ただし、医療保険と就業不能保険では保障する内容が異なります。
医療保険に入っているからといって、働けない間の生活費まで十分にカバーできるとは限りません。
◆ FPからのまとめ
医療保険を考えるときは、まず次の3つを確認してみましょう。
- 公的医療保険で、自己負担はいくらになるのか
- 病気で働けなくなった場合、収入はどうなるのか
- 手元の預貯金で、どこまで対応できるのか
そのうえで不足する部分があれば、民間保険で補うという考え方です。
保険は、入っているほど安心というものではありません。
必要以上に保険料を払うことで、教育費や老後資金の準備が遅れてしまう可能性もあります。
保険で備えるお金と、自分で貯めて備えるお金。
このバランスを考えることが、無理のない家計管理につながります。
◆ 今の医療保険、本当に必要ですか?
「医療保険に毎月いくら払うのが適切?」
「今の貯蓄があれば、医療保険はなくても大丈夫?」
「保険料を減らして、NISAや教育費に回したい」
そんな方は、加入中の保険や預貯金、公的保障を整理してみませんか。
FP with youでは、現在の家計と将来のライフプランをもとに、必要な保障と貯蓄のバランスを一緒に考えます。


