投資より先にやるべきお金の準備
◆ NISAを始める前に、確認してほしいこと
「周りがNISAを始めているから、自分も早く始めなきゃ」
「預金に置いておくより、投資した方がお得なのでは?」
そんなふうに考えている方も多いのではないでしょうか。
物価が上がり、将来のお金への不安も大きくなる中、資産運用は大切な選択肢の一つです。
でも、投資を始める前に確認してほしいことがあります。
それは、今の家計に「投資に回しても大丈夫なお金」があるかどうかです。
どれだけ良い投資商品を選んでも、急な出費で途中売却しなければならなくなったら、思うような資産形成はできません。
今回は、投資を始める前に準備しておきたいお金についてお伝えします。
◆ ① まずは生活防衛資金を確保する
最初に準備したいのが「生活防衛資金」です。
生活防衛資金とは、病気や失業、急な出費などに備えて手元に置いておくお金のこと。
一般的には、生活費の3〜6か月分が一つの目安になります。
例えば、毎月の生活費が30万円なら、
・3か月分:90万円
・6か月分:180万円
となります。
ただし、必要な金額は家庭によって異なります。
共働きで収入が安定している家庭と、自営業で収入が変動しやすい家庭では、備えておきたい金額も違います。
子どもの有無や勤務先の保障なども考慮して決めましょう。
このお金は増やすためではなく、万が一のときに生活を守るためのお金です。
そのため、値動きのある投資商品ではなく、すぐに引き出せる預貯金で確保しておくことをおすすめします。
◆ ② 数年以内に使うお金は分けておく
次に確認したいのが、近い将来に予定している大きな支出です。
例えば、
・子どもの入学金や学費
・住宅購入の頭金
・車の買い替え費用
・家族旅行
・引っ越し費用
こうした支出は、使う時期がある程度決まっています。
例えば、3年後に車を購入するために300万円を準備しているとします。
この300万円をすべて投資に回してしまうと、購入直前に株価が下落し、必要な金額を用意できなくなる可能性があります。
投資は長期的な資産形成に向いていても、短期間で必ず増えるわけではありません。
特に数年以内に使う予定があるお金は、預貯金などで確保しておく方が安心です。
お金を「いつ使うのか」で分けることが大切です。
◆ ③ 毎月の家計を黒字にする
生活防衛資金を確保しても、毎月の家計が赤字では、投資を続けることが難しくなります。
例えば、毎月5万円をNISAで積み立てていても、生活費が不足してクレジットカードのリボ払いや借入れに頼っているなら、家計全体を見直す必要があります。
特に金利の高い借入れがある場合は、投資より返済を優先した方が合理的なことが多いでしょう。
投資の利益は不確実ですが、借入れの利息負担は契約に基づいて発生するからです。
また、毎月の家計が黒字でも、ボーナスで赤字を補っている家庭は注意が必要です。
固定資産税、自動車税、帰省費用、家電の買い替えなど、年間で発生する支出も含めて確認しましょう。
例えば、年間の特別費が60万円なら、毎月5万円を別に積み立てておく必要があります。
投資に回せる金額は、こうした支出を差し引いたうえで考えることが大切です。
◆ ④ 投資に回せるお金を計算する
ここまで整理できたら、いよいよ投資に回せる金額を考えます。
例えば、毎月の手取り収入が50万円の家庭の場合。
・毎月の生活費:35万円
・年間の特別費への積立:5万円
・近い将来の教育費への積立:3万円
この場合、残るのは月7万円です。
生活防衛資金が十分に確保できていて、高金利の借入れなどもなければ、この7万円の一部または全部を長期の資産運用に回すことが考えられます。
ただし、必ず7万円すべてを投資する必要はありません。
旅行や趣味など、今の生活を楽しむためのお金も大切です。
毎月3万円でも5万円でも、無理なく続けられる金額を選ぶことが重要です。
◆ 投資を始めるのは、現金が十分に貯まってから?
ここで気になるのが、「生活防衛資金が完全に貯まるまで、投資を始めてはいけないの?」という疑問です。
必ずしもそうではありません。
最低限必要な現金を確保できていて、毎月の家計にも余裕があるなら、生活防衛資金を積み増しながら、少額の積立投資を始める方法もあります。
大切なのは、投資をすることで生活費や必要な貯蓄が不足しないことです。
また、NISAは利益が非課税になる制度ですが、投資元本が保証される制度ではありません。
投資を始めることそのものを目的にせず、将来の何のために運用するのかを考えておきましょう。
◆ FPからのまとめ
投資を始める前に確認したいのは、次の4つです。
- 急な出費に備える生活防衛資金があるか
- 数年以内に必要なお金を確保できているか
- 年間を通して家計が黒字になっているか
- 無理なく投資に回せる金額はいくらか
投資でお金を増やすことは大切です。
でも、そのために今の生活が不安定になってしまっては本末転倒です。
「守るお金」「近い将来に使うお金」「長期で増やすお金」。
この3つを分けて考えることで、安心して資産形成を続けやすくなります。
投資を始める前の準備は、遠回りではありません。
長く投資を続けるための大切な土台なのです。
◆ 投資にいくら回していいか迷っていませんか?
「生活防衛資金はいくら必要?」
「教育費も準備しながらNISAを始めたい」
「今の家計で毎月いくら投資できるのか知りたい」
そんな方は、現在の収入や支出、今後のライフイベントを一緒に整理してみませんか。
FP with youでは、教育費や住宅費、老後資金なども踏まえながら、将来の希望を実現するための無理のない資金計画を考えます。

